60秒早わかり解説

人間型ロボットが建築作業をお手伝い

重労働作業の代替を目指した人間型ロボット


 近年、建設業における人手不足が進んでおり、今後更に深刻化することが見込まれている。装着型のアシストロボットの導入や、自律型ロボットの導入によって、人の負担を軽減することが期待されている。
 今回、産業技術総合研究所(産総研)で、人間の重労働作業や危険な環境での作業を自律的に代替することを目指した人間型ロボットの試作機(HRP-5P)が開発された。

建築作業で求められるロボット

 自動車の生産ラインなどロボットの導入による自動化が進んでいる分野では、例えばアーム型のロボットの場合は、操作する部品などをベルトコンベアで流す、というように、ロボットに合わせて作業環境を固定することができている。一方、建築現場では石こうボードや合板など非常に大きな資材を扱うことから、ロボット自身が建築途中の建物の中を動き回って作業することが求められる。

なぜ人間型が適しているのか?

 建築途中の建物は床が平らとは限らない。また、床下や屋根裏のような非常に狭い場所での作業も必要となる。このような環境で人に代わって自在に移動し、作業ができるロボットの形態を考えると、やはり人に近い身体構造をもった人間型ロボットが適していると考えられる。


動画:重量がある実物の資材での建設作業に成功

ロボットと共存する社会を目指して

 これまで、建築作業の自動化は非常に難しいと思われてきたが、今回開発された人間型ロボットによって、多数ある工程の一部を担うことができるようになった。今後社会の要請に応じて、作業員不足を補うとともに、人間の重労働作業からの解放と、より付加価値の高い作業の実現を目指し、引き続きロボット開発を支援していく。
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