統計は語る

あなたの「夏」が景気を下支え

観光指数を動かす国内旅行


 もうすぐ夏休み―。夏休みといえば、旅行という方も多いのではないだろうか。そこで今回は、皆さんのうちどのぐらいの人が、どのような旅行に行くのか、また、その変化が、第3次産業活動指数(以下、サービス指数)にどのような影響を与えるのかを分析してみた。

   

カギは国内旅行

 上のグラフは、サービス指数の「観光」指数(注)の前年比寄与度分解のグラフ。主に国内旅行に関連していると考えられる産業をブルー系(訪日外国人の現地旅行もこちらに含む)、主に海外旅行に関係していると考えられる産業をオレンジ系に塗り分けると、動きのほとんどを、国内旅行関連が説明していることがわかる。
 それもそのはず、総務省の「社会生活基本調査」(以下、「生活調査」)によると、国内観光(日帰り含む)に行く人数は、海外旅行に行く人数の約15倍にも達する(右上図)。旅先で使うお金が国内に落ちるという事も考え合わせればなおさら、観光指数の動きにとっては国内旅行が鍵のようだ。

リタイア層が牽引

 下のグラフは、生活調査における、日帰り旅行と国内観光旅行の行動者数(余暇にその旅行に行った人の数)の前回調査比の年代別寄与度分解のグラフである。サービス指数が月次の調査であるのに対して、生活調査は5年おきの調査ですので、直接比較することはできないが、互いを補い合いつつ、その意味を読み取ってみよう。

   

 日帰り、国内観光のいずれのグラフでも、プラスに寄与している年代で目立つのは、紫色に塗られた70歳以上のリタイア層だ。サービス指数の「観光」も、2011年までは下落していたが、生活調査によれば、その間もリタイア層が下支えしてきたことがわかる。
「観光」指数が2012年にプラスに転じてからもその構造は変わらないが、2016年は、これに加えて、日帰り旅行では10代と40代という、親子を連想させる年齢層が、宿泊を伴う国内旅行では10代、20代、40代、50代という、幅広い現役世代がプラスに転じている点が特徴的だ。
 リタイア世代だけでなく、現役世代の旅行者が増加したことは、「観光」指数の足腰を強くするかもしれない。このように、サービス指数と他の統計とを照らし合わせると、景気の良し悪しだけでなく、自分や身近な人の行動が景気に影響を与えていることを実感できるのではないだろうか。

(注)サービス指数では、観光に関連する全ての指数を再編集した「観光関連産業指数」を公表しているが、ここに含まれる「遊園地・テーマパーク」は、生活調査では、「旅行」ではなく「趣味・娯楽」の一つと捉えられている。そこで、本稿では、観光関連産業指数から遊園地・テーマパークを除いた「観光」指数を作って分析している。  

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