半導体って何?~知っておきたい経済の基礎知識
2023年6月、経済産業省は、日本の半導体、情報処理基盤などの産業に関して、今後の政策の方向性を定めた「半導体・デジタル産業戦略」(2021年6月策定)を改定しました。経済安全保障推進法においても特定重要物資として指定されている「半導体」とは何か、解説します。
半導体とは?
半導体とは、導体と絶縁体の中間の性質を持つ物質です。このような半導体を材料に用いたトランジスタや集積回路(多数のトランジスタなどを作り込み配線接続した回路)も、慣用的に”半導体”と呼ばれています。2000年代以前も電気製品に使われていましたが、デジタル化の進展等により、AI、ロボット、スマートフォン、PC、クラウドなどの分野で、ありとあらゆる製品に使用される基幹部品となっています。産業に必要不可欠な「産業のコメ」とも言われています。
不足する半導体
新型コロナウイルス感染症の世界的な流行により、テレワークや遠隔・非接触技術、デジタル化が急速に拡大したことなどを背景に、電子機器、デジタルインフラの基幹部品である半導体の需要は大きく拡大しています。2021年には、半導体市場は約61兆円でしたが、今後も右肩上がりで成長し、2030年に100兆円を超える規模にまで成長するとのデータもあります。
また、近年、地震や寒波、水不足や火災などの影響により、半導体製造工場の生産能力が落ち込み、世界的に半導体が不足する状況が発生しました。半導体不足は、自動車の生産調整や、医療機器の不足につながるなど、世界の製造業に影響を及ぼし、サプライチェーンの中で、基幹部品である半導体の重要性が再認識されることになりました。
半導体の安定供給を確保する
1990年頃には、日本が世界の半導体市場の約5割を占めていましたが、その後、国際競争が激化し、現在は市場の1割程度のシェアに落ち込んでいます。日本は台湾のTSMCの熊本県への誘致など、先端半導体の国内製造拠点の整備などに取り組んできましたが、引き続き半導体の安定供給の確保に向けた取り組みを行っていくことが必要です。
経済産業省では、「半導体・デジタル産業戦略」を通じて、2030年に、国内で半導体を生産する企業の合計売上高(半導体関連)15 兆円超を実現し、日本の半導体の安定的な供給を確保することを目標にしています。
経済産業省 広報室
【関連情報】
「半導体・デジタル産業戦略」を改定しました (METI/経済産業省)