統計は語る

6月の鉱工業生産は、海外・国内向け販売が堅調。自動車工業等が上昇し、基調判断は、「生産は緩やかな持ち直しの動き」に据え置き。

6月生産は2か月ぶりの前月比上昇

2023年6月の鉱工業生産は、季節調整済指数105.3、前月比2.0%と、2か月ぶりの上昇となった。
これまでの生産の動向については、2月から4月にかけて、部材供給不足の影響緩和などを受けて、自動車工業等が上昇したことなどから、全体として上昇した。
その後、5月は、それまでの上昇の反動に加えて、部材供給不足の影響などを受けて、自動車工業等が低下したことなどから、全体として低下した。
こうした中、6月は、海外・国内向け双方での販売が堅調であることなどを受けて、自動車工業等が上昇したことなどから、全体として2か月ぶりに上昇した。

10業種が前月比上昇、5業種が同低下

6月の鉱工業生産を業種別にみると、全体15業種のうち、10業種が上昇、5業種が低下という結果だった。
6月は、海外・国内向け双方での販売が堅調であることなどを受けて、自動車工業等が上昇したことなどから、全体として上昇した。

上昇寄与度の最も大きかった自動車工業は、駆動伝導・操縦装置部品や普通トラック等が主な上昇要因となっている。駆動伝導・操縦装置部品については、国内の自動車生産が回復基調にあることなどを受けて、普通トラックについては、海外・国内向けの販売が堅調であることなどを受けて、上昇したものと考えられる。

出荷は3か月ぶりの上昇

6月の鉱工業出荷は、季節調整済指数104.8、前月比1.5%と、3か月ぶりの上昇となった。

業種別にみると、全体15業種のうち、9業種が上昇、4業種が低下、2業種が横ばいとなった。
6月は、海外・国内向け双方での販売が堅調であることなどを受けて、自動車工業等が上昇したことなどから、全体として上昇した。
上昇寄与度の最も大きかった自動車工業は、普通乗用車や駆動伝導・操縦装置部品等が主な上昇要因となっている。普通乗用車については、海外・国内向けの販売が堅調であることなどを受けて、駆動伝導・操縦装置部品については、生産と同様の理由により、上昇したものと考えられる。
財の需要先の用途別分類である財別出荷指数をみると、資本財(除.輸送機械)が前月比マイナス0.8%、非耐久消費財が同マイナス0.5%と低下する一方で、生産財が同0.8%、建設財が同1.8%、耐久消費財が同0.7%と上昇した。

在庫は2か月ぶりの低下

6月の鉱工業在庫は、季節調整済指数105.5、前月比マイナス0.1%と、2か月ぶりの低下となった。
業種別にみると、15業種のうち、7業種が低下、8業種が上昇となった。
寄与度の最も大きかった自動車工業は、普通乗用車や小型乗用車等が主な低下要因となっている。

在庫率は4か月ぶりの低下

6月の鉱工業在庫率は、季節調整済指数104.9、前月比マイナス1.2%と、4か月ぶりの低下となった。
業種別にみると、15業種のうち、9業種が低下、6業種が上昇となった。

在庫循環図をみると、2021年第3四半期までは、「在庫積み増し局面」にあったが、第4四半期には、「在庫積み上がり局面」に達しており、2023年第2四半期(速)まで継続している。これまでの部材供給不足などによる生産減少の影響等が含まれているが、概ね「在庫積み上がり局面」に位置しているものと考えられる。

6月の生産の基調判断は、「緩やかな持ち直しの動き」に据え置き

6月の鉱工業生産は、前月比2.0%の上昇となった。
これまでの生産は、2月から4月にかけて、部材供給不足の影響が緩和されたことなどを受けて、自動車工業を中心に上昇していた。
その後、5月は、これまでの上昇の反動に加えて、部材供給不足の影響などを受けて、自動車工業等が低下したことなどから、全体として低下していた。
こうした中、6月は、海外・国内向けの販売が堅調であることなどを受けて、自動車工業等が上昇したことなどから、全体として上昇した。
また、先行きに関しては、企業の生産計画では、7月は低下、8月は上昇を見込んでおり、ならしてみると緩やかな持ち直しの動きが続いていると考えられる。
こうした状況を踏まえ、鉱工業生産の6月の基調判断については、「生産は緩やかな持ち直しの動き」に据え置く。
なお、今後は、部材供給不足の影響、物価上昇の影響などについて、注視していく。

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参考図表集
マンガ「ビジネス環境分析にも使える!鉱工業指数(IIP)」