60秒早わかり解説

WTO紛争解決手続と日本

自由貿易体制支える根幹


 WTO(世界貿易機関)の紛争解決手続で、日本の勝訴が続いていることをご存じだろうか?

19件中18件で日本の主張に沿った解決

 日本はこれまで23件の貿易問題をWTOに持ち込んできた。そのうち特に有名なのは、中国のレアアース輸出制限に関するものだろう。米国の鉄鋼セーフガード措置についてしたこともある。日本がWTOに持ち込んだ23件のうち係争中4件あるが、それ以外の19件中18件については、日本の主張に沿った解決がなされていることは意外と知られていない。

中国はWTOの判決を尊重

 日本が初めて中国に対してWTO協議要請を行ったのは、2012年、レアアースの輸出制限に関してであった。本件は、日本、米国、EUが共同で中国を提訴したもので、WTOでの審理を経て、提訴国の主張を全面的に認める判決があった。中国はこの判決に沿った履行をする表明を行い、実際に履行期限以内にすべての輸出制限措置を撤廃している。

保護主義の危険性

 WTOは、第二次世界大戦前にブロック経済化が進み、各国が保護主義政策をとったことが戦争の一因となってしまったことを反省して創設された。WTOの原則は、無差別待遇(最恵国待遇、内国民待遇)であり、これによって世界経済全体が発展することを目指している。

自由貿易体制の堅持に向けて

 資源の少ない日本にとって、自由貿易体制を支えることは必要不可欠である。WTOにおける紛争解決手続は、自由貿易体制を支える重要な機能となっており、日本としても適切かつ戦略的に活用することが重要である。

【関連情報】

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