5月の鉱工業生産は、自動車工業等が低下したことなどから、4か月ぶりの低下。基調判断は、「生産は緩やかな持ち直しの動き」に据え置き
5月生産は4か月ぶりの前月比低下
2023年5月の鉱工業生産は、季節調整済指数103.8、前月比マイナス1.6%と、4か月ぶりの低下となった。
これまでの生産の動向については、2月から4月にかけて、部材供給不足の影響緩和などを受けて自動車工業等が上昇したことなどから、全体として3か月連続で上昇していた。
こうした中、5月はこれまでの上昇の反動に加えて、部材供給不足の影響などを受けて、自動車工業等が低下したことなどから、全体として4か月ぶりに低下した。
12業種が前月比低下、3業種が同上昇
5月の鉱工業生産を業種別にみると、全体15業種のうち、12業種が低下、3業種が上昇という結果だった。
5月は、これまでの上昇の反動に加えて、部材供給不足の影響などを受けて、自動車工業等が低下したことなどから、全体として低下した。
低下寄与度の最も大きかった自動車工業は、普通乗用車やシャシー・車体部品等が主な低下要因となっている。これらについては、部材供給不足の影響などを受けて、低下したものと考えられる。
出荷は2か月連続の低下
5月の鉱工業出荷は、季節調整済指数103.9、前月比マイナス0.6%と、2か月連続の低下となった。
業種別にみると、全体15業種のうち、10業種が低下、5業種が上昇となった。
5月は部材供給不足の影響などを受けて、自動車工業等が低下したことなどから、全体として低下した。
低下寄与度の最も大きかった自動車工業は、普通乗用車や軽トラック等が主な低下要因となっている。これらについては、部材供給不足の影響などを受けて、低下したものと考えられる。
財の需要先の用途別分類である財別出荷指数をみると、資本財(除.輸送機械)が前月比2.6%、耐久消費財が同2.0%、生産財が同0.2%、非耐久消費財が同0.1%と上昇する一方で、建設財が同マイナス2.3%と低下した。
在庫は2か月ぶりの上昇
5月の鉱工業在庫は、季節調整済指数105.3、前月比1.5%と、2か月ぶりの上昇となった。
業種別にみると、15業種のうち、6業種が上昇、9業種が低下となった。
上昇寄与度の最も大きかった自動車工業は、普通トラックや普通乗用車等が主な上昇要因となっている。
在庫率は3か月連続の上昇
5月の鉱工業在庫率は、季節調整済指数105.5、前月比0.9%と、3か月連続の上昇となった。
業種別にみると、15業種のうち、7業種が上昇、8業種が低下となった。
在庫循環図をみると、2021年第3四半期までは、「在庫積み増し局面」にあるが、第4四半期には、「在庫積み上がり局面」に達しており、2023年第2四半期(速)まで継続している。これまでの部材供給不足などによる生産減少の影響等が含まれているが、概ね「在庫積み上がり局面」に位置しているものと考えられる。
5月の生産の基調判断は、「緩やかな持ち直しの動き」に据え置き
5月の鉱工業生産は、前月比1.6%の低下となった。
これまでの生産は、2月から4月にかけて、部材供給不足の影響が緩和されたことなどを受けて、自動車工業を中心に上昇していた。
こうした中、5月は、これまでの上昇の反動に加えて、部材供給不足の影響などを受けて、自動車工業等が低下したことなどから、全体として低下した。
また、先行きに関しては、企業の生産計画では、6月は上昇、7月は低下を見込んでいるものの、ならしてみると緩やかな持ち直しの動きが続いていると考えられる。
こうした状況を踏まえ、鉱工業生産の5月の基調判断については、「生産は緩やかな持ち直しの動き」に据え置く。
なお、今後は、部材供給不足の影響、物価上昇の影響などについて、注視していく。