起業して社会を変えよう。日本スタートアップ大賞2023発表

6月9日、総理大臣官邸で「日本スタートアップ大賞2023」の表彰式が行われました。「日本スタートアップ大賞」は、若者などのロールモデルとなるようなインパクトのある新事業を展開するスタートアップを政府として称えるものです。

スマートフォン向けニュース配信アプリを日米で展開するスマートニュースが内閣総理大臣賞を受賞。途上国でマイクロファイナンス（事業者向け小口金融サービス）を提供する五常・アンド・カンパニーが経済産業大臣賞グローバル賞を、経営の多様化を重視しつつ、集客のプラットフォームとオペレーション改善のSaaS※を提供するミツモアが経済産業大臣賞ダイバーシティ賞を受賞しました。

※Software as a Service の略。インターネット経由でアプリケーション機能を提供するサービスの形態

スマートニュース～壁のない、なめらかな社会を実現する

内閣総理大臣賞は、事業のビジョンや新規性・革新性、起業のチャレンジ性や事業の拡張性に照らして、最も評価の高い企業が選ばれます。

受賞したスマートニュースは、「世界中の良質な情報を必要な人に送り届ける」を使命に、グローバルに事業成長を遂げています。

30年以上前にベルリンの壁が崩壊する直前の東ベルリンに入った共同創業者の鈴木健氏は、そこで壁越えに失敗した市民が撃たれたことを知り、それ以来「様々な壁を取り払い、なめらかな社会を実現する」ことが目標になりました。社会システムを提唱する研究者となった後、多数の受賞歴を持つソフトウェアエンジニアである浜本階生氏と出会い、スマートニュースを共同創業しました。二人は創業前からグローバル展開を志し、前身のプロダクトを米国の展示会へ出展し、そこで得た経験からニュースアプリSmartNewsは生まれました。

五常・アンド・カンパニー～誰もが自分の未来を決めることができる

経済産業大臣賞グローバル賞は、事業の海外進出や国際的な活躍について、特に評価の高い企業が選ばれます。受賞した五常・アンド・カンパニーは、「誰もが自分の未来を決めることができる世界」を目指しています。民間セクターの世界銀行として「世界中に金融包摂を届ける」ことをミッションに、途上国でマイクロファイナンスを展開しています。

マイクロファイナンス事業の顧客

マイクロファイナンスとは、低所得層を対象とした、事業者向け小口金融サービスです。創業者の愼泰俊氏は、金融機関で投資業務に従事していた際、米経済学者ジェフリー・サックス氏が貧困の現実とそれをなくす方策を記した「貧困の終焉」という本に出会い、NPO法人Living in Peaceを設立。機会の平等に関する支援を行う中で、日本初の「マイクロファイナンス・ファンド」を企画しました。2012年に世界経済フォーラムのイベントに参加して、「21世紀では、個人でも民間版の国際機関をつくることができる」と気づき、民間セクターの世界銀行をつくるべく、五常・アンド・カンパニーを設立しました。2023年3月現在、インド・カンボジア・スリランカ・ミャンマー・タジキスタンの5カ国で168万人を超える顧客にマイクロファイナンス事業を展開しています。

ミツモア～明日がもっといい日になると思えるように

経済産業大臣賞ダイバーシティ賞は、ダイバーシティ経営の観点から特に評価の高い企業が選ばれます。受賞したミツモアは、「日本のGDPを増やし　明日がもっといい日になると思える社会に」をミッションに、ユーザーの生産性向上を実現する、見積もりプラットフォーム「ミツモア」と現場仕事事業者向けSaaS「MeetsOne」を提供しています。

見積もり比較・受発注サービス「ミツモア」と現場仕事事業者向けSaaS「MeetsOne」

創業者兼CEOの石川彩子氏は、前職で中小企業経営者の方々の生き方や人柄に触れ、「この人たちの力になりたい」と強く思い起業を志しました。そして「事業者の生産性向上のためには、IT活用が不可欠。ITが一番進んだ国で勉強しよう」と考え、ペンシルバニア大学でMBA取得。シリコンバレーのスタートアップで働きながらビジネスのアイデアを練り、帰国後にミツモアを創業しました。日本人が利用できる「世界基準で優れたプロダクト」を提供するために、ユーザーとプロダクトに真摯に向き合う姿勢を大切にしています。

自身の海外での経験から、創業時より多様性を重視した経営を行っており、誰がマイノリティになっても心地よい、風通しの良い自由闊達な職場環境の整備が、多様なバックグラウンドを持つ優秀な人材の獲得に繋がり、事業成長を支えています。