60秒早わかり解説

デジタル技術を活用し、アジアで社会課題を解決する「アジアDX企業」をご紹介!

EV先進国インドのEV3輪で存在感を発揮する「Terra Motors」

次世代モビリティの主力として期待されるEV Auto

経済産業省では、国内大企業・スタートアップ企業が、アジアの企業などと連携し、デジタル技術を活用して社会課題を解決するための新産業創造「アジアDX」を推進しています。世界で活躍する「アジアDX企業」を複数回に分け、不定期に紹介していきます!

自動車販売台数世界3位の自動車大国インドは、EV(電気自動車)先進国でもあります。インド政府は2030年までに二輪車と三輪車の8割をEV化する目標を掲げ、その取り組みを加速しています。この国のEV3輪で存在感を発揮しているのは、日系企業のTerra Motorsです。

世界で勝ち抜く。日本企業の再興こそが成長エンジン

「今こそ、日本全体がもう一度立ち上がる時です。」

これは政府が打ち出したミッションでもなく、同社HPの企業理念に書かれた一文。同社の日本企業としての矜持が着実に自身をグローバル企業へと押し上げています。

同社は、次世代モビリティであるEVのアジア全域での販売を中心に行う企業で、設立から2年で当時の日本市場において年間販売台数3,000台を突破しました。しかし、道のりは順調ではなく、インド自動車業界では売上低調で伸び悩む時期もありました。同社の上田社長は顧客視点や現場主義など前職の日系大手メーカーで培った文化を社内全体に浸透しながら、会社の経営を立て直しました。

その後、バングラディシュへの展開なども経験しながら、法規制などの市場性からインド集中に切り替え、現地での3輪EVでシェアを維持しています。

各種サービスのアプリ開発に取り組む同社社員

交通インフラ構想を具現化する生活者視点

インドのEV市場で存在感を発揮する同社が今後狙うのは「Terra Big Data Base構想」の実現です。これまでのEV販売事業を拡大しながら、金融事業、充電インフラなどの新規事業の立ち上げを進め、単なるEVメーカーではなくEV産業におけるトータルソリューション企業を目指しています。商用EVのIoT化、電子決済を通じた顧客・支払い情報、走行パターン、商品不良情報など、様々な情報を収集・蓄積し、OPEN API化することで、自社のマーケティングに役立てるだけでなく、現地政府も巻き込むようなスマートシティ構想にまで拡張する将来像を描いています。

同社の野心的な取り組みが実現しようとするのは、日本をも上回るアーバンスタイルの交通インフラですが、その果実を享受するのは、富裕層だけではありません。むしろ、同社がインドでターゲットとするのは、BOP層(所得レベル$8/日)や中間所得層($15~$30/日)です。具体的には、生活者の収入源の手段として商用EVを導入したり、低所得層でもローンを組めるアプリを搭載したりしています。国民の大多数を占める所得層から必要とされる商品を展開した先にBig Data Base構想のような大きなプロジェクトが見えてくるのです。

ニプ・クマール氏はビハール州からグルガオンへ出稼ぎ労働者として移住。同社のEV3輪を使ってドライバーとして働き、生計を立てています

テラファイナンスの支援によって収入が向上し、生活環境が大幅に改善されたEV3輪のドライバーの家族の方々

アジアDXの挑戦を政府も応援

経済産業省では、国内大企業・スタートアップ企業が、アジアの企業などと連携し、デジタル技術を活用して社会課題を解決するための新産業を創造する「アジアDX」企業を支援しています。

Terra MotorsのEVに搭載する広告ソフトウェアの開発と実証に対し、令和元年度ADX実証事業として採択しました。詳しくは、経済産業省アジアDXプロジェクトページをご参照ください。

経済産業省 アジア新産業共創政策室

【関連情報】
経済産業省アジアDXプロジェクト

ジェトロDXポータル 実証事業(パイロットプロジェクト支援)による支援

Terra Motors

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