販売額が大きいのはどっち?
手軽な食事で伸びるファーストフード
時間がなくてもさっと食べられるファーストフード。出勤前の朝食や、ランチなどで利用するという方も多いのではないだろうか。今回はそんなファーストフードを提供している2つの業態、ファーストフード店とコンビニエンスストアの販売額について見てみたいと思う。
ファーストフードはV字回復
日本フードサービス協会が公表しているファーストフード店の販売額前年比から2017年の販売額を推計すると、約1兆5000億円だった。
上のグラフは、同様に推計した2008年から2017年までの販売額の推移だ。2008年以降上昇が続いていたが、2011年からは勢いがなくなった。
そして2012年を「山」にして、ゆるやかな低下傾向となり、2015年に大手チェーン店の食の安全問題などもあって大きな落ち込みを見せた。しかし、2016年、2017年と2年連続で急伸し、2012年以前と比べても高い水準となった。
2012年までの販売額は、1兆4000億円が一種の「天井」だったが、2017年には1兆5000億円のレベルとなっているので、ファーストフード店の活動レベルは、まさにV字回復を見せている。
右肩上がりのコンビニ弁当やおにぎりなど
次に、弁当、おにぎり、パンだけでなく、ホットドリンク、ハンバーガー、中華まんやフライドチキンなど、いまやファーストフード店の多様さに引けを取らないほどの品揃えとなっている、コンビニエンスストアの「ファーストフード及び日配食品」販売額推移を見てみる。
この販売額は、2017年には約4兆4000億円となっている。実は、その販売額は、ファーストフード店の販売額の3倍弱となっている。結構、意外なデータではないだろうか?
上のグラフは、コンビニエンスストアの販売額合計と、「ファーストフード及び日配食品」(グラフ中のFF・日配)の販売額の推移だ。「ファーストフード及び日配食品」が2009年に一度、前年比低下となっているが、それ以外は全ての年で前年販売額を上回っており、右肩上がりに推移している。
コンビニエンスストア全体の販売額も上昇しているが、販売額全体に占める、「ファーストフード及び日配食品」の割合を計算すると、2008年は34.7%、2017年は37.7%と、この9年で3%増えており、ファーストフードや日配食品販売のウェイトは徐々に高まっていることが分かる。
ちなみに、コンビニエンスストアの販売額全体に占めるサービスの売上高は、2008年が4.0%、2017年が5.5%とこちらも上昇しているが、まだまだ「ファーストフード及び日配食品」の割合には遠く及ばない。
伸び率はコンビニの圧勝
ファーストフード店もコンビニエンスストアの「ファーストフード及び日配食品」も、販売額は足下では伸びていることが分かったが、2008年から2017年の両者の伸びを比べてみると下のグラフのようになる。
どちらも伸びているが、ファーストフード店の伸び率14.3%に対し、コンビニエンスストアの伸び率は60.2%と、コンビニエンスストアの圧勝だ。コンビニエンスストアの販売額全体の伸び率47.5%と比べても大きな伸びを見せた。
販売額を比べると、2008年はコンビニエンスストアの「ファーストフード及び日配食品」がファーストフードの約2倍だたtが、先ほど述べたように、2017年にはその差がさらに広がり約3倍となった。
この10年間の動きでは、販売額でも伸び率でもコンビニエンスストアの「ファーストフード及び日配食品」販売が大きく伸びたが、2016年、2017年のファーストフード店のV字回復も見逃せない。
ファーストフード店とコンビニエンスストア、両方とも1970年代初頭に日本で産声を上げた業態だ。ほぼ半世紀の間、順当に両業態とも発展してきた。次の半世紀、この2業態は、どうなっていくのだろうか?