六角形を探せ!
秋も深まり、自然の美しさが映える季節がやってきました。そんな中、冒頭から全く季節感のない写真を掲載するのにはちゃんと理由があります。今回のテーマは六角形。ヘキサゴンについてお話しします。
「自然は六角形が大好き」。
小学校の頃、理科の先生にそう教わりました。雪の結晶、亀の甲羅、昆虫の複眼、ピーマンのヘタの部分…自然は六角形で溢れている。蜂の巣(ハニカム)構造とも言われますが、自然界に六角形が多い理由は、「効率が一番いいから」なんだそうです。
同じ巣に住む数百匹もの蜂が快適に暮らせるよう、限られた空間を有効に使いたいのですが、部屋の形が五角形や八角形では、無駄な隙間ができてしまいます。無数にある図形(多角形)の中で、平面をびっしりと隙間なく埋められるのは、三角形と四角形、そして六角形だけ。そして皆さん、三角形、四角形、六角形の3種類の同じ広さの部屋があったら、どの部屋に住みたいですか?スペースが一番有効に使えそうなのは…?部屋の角にたまったゴミの掃除が一番楽そうなのは…?
自然に愛され、自然に選ばれる六角形。私たち人間もその便利さを知っていて、普段の生活から最新のテクノロジーに至るまで様々な形で応用しています。
思い返してみれば、子供のころから使い慣れた鉛筆の断面は六角形。この形が最も手にフィットしやすいのだとか。
「カーボンナノチューブ」という名前を聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれません。日本で開発されたこの素材は、炭素原子を隙間なく六角形に並べて作ったシートを丸めた形をしています。これ以上ないほどびっしりと中身が詰まった構造だから、「夢の新素材」ともいわれるほど、軽くて強い。炭素繊維に加工され、ゴルフクラブのシャフトやテニスラケットのフレームのような身近な製品や、テクノロジーの粋を凝縮した飛行機やロケットの素材としても使われています。
世界を見渡すと、昨今の地球温暖化による海面上昇の懸念から、水上都市を建設しようという動きもあるそうです。その水上都市の区画は、碁盤の目ではなく、六角形で区切られています。きっと蜂の巣と同じように、たくさんの人が快適に暮らすために、一番効率が良いからではないでしょうか。
経済産業省のある東京・霞ヶ関でも六角形を探したところ、ありました。
わが経済産業省のシンボルマークも、六角形。詳細な解説は経済産業省のウェブサイトに譲りますが、正六角形が表現するのは、産業や貿易、国民生活や自然環境といった、日本経済を構成する要素が有機的に結びつく様子。六角形の名に恥じぬよう、強くしなやかな日本経済を作っていく役割を果たすべく、改めて身が引き締まります・・・!
11月は、「激戦バイオ~新たな産業革命~」と題し、今注目のバイオテクノロジーを特集します。バイオ産業といえば、新型コロナワクチンをはじめとする医薬品分野をイメージしますが、実はそれだけではありません。素材、食品、繊維、エネルギー、あらゆる分野の製品がバイオテクノロジーによって生み出される時代がすぐそこに近づいています。微生物を活用したものづくりなど、時代を先取りするプレイヤーたちの動きにもフォーカスします。今月もぜひ、METI Journalオンラインをお楽しみください。
経済産業広報室/METI Journalオンライン編集チーム
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