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電気の最終保障供給制度、電力スポット市場の状況変化に合わせ9月から制度を見直し

9月1日から、沖縄電力以外の一般送配電事業者9社(東京電力パワーグリッドなど)において、法人向け電気の最終保障供給料金に卸取引市場の価格が反映されるようになります。この背景について、解説します。

現在の電力スポット市場価格が小売市場に与える影響

電力システム改革による小売全面自由化により、電気事業に参入した新電力などの事業者は、これまで卸電力市場で多くの電気を調達してきました。しかし、今般の卸電力市場の価格高騰に伴い、電気の調達コストが大幅に上がり、顧客である需要家からその調達コストに見合う料金が回収できないといった事態が生じたことで、一部の事業者の撤退や、大手電力会社も含めて法人向けの新規契約を控える動きが広がりました。
この結果、一部の需要家が「最終保障供給料金」に流れることになったのです。

3月から契約件数が急増-最終保障供給とは

小売電気市場は自由化されており、市場の参入や契約状況については事業者の判断にゆだねられているものの、需要家保護の観点からは、安定供給の確保が重要です。

どの事業者とも供給条件が整わない需要家や、それまで電気の供給を受けていた事業者が何らかの理由で撤退してしまった需要家に対して、他の事業者と契約するまでの間、最終的な電気の供給を担保できるよう、地域の一般送配電事業者(東京電力パワーグリッドなど)が最終保障供給約款に基づき電気の供給義務を負う「最終保障供給」という制度が、電気事業法に予め措置されています。上述の理由から、燃料高騰が顕著となった3月以降、この契約件数が急増していました。

なぜ最終保障供給料金の契約件数が増加するのか

最終保障供給料金の契約件数が急増する背景として、一般送配電事業者が提供する最終保障供給料金が、新電力など小売電気事業者が卸電力市場価格で調達する電気料金よりも安価であり、一般送配電事業者も調達費用が最終保障供給料金を上回る状態でも供給し続ける、いわゆる逆ざや状況が続いていることがあげられます。

この状況が続くことは、新電力などの小売電気事業者の供給再開を困難にし、さらに、逆ざやによる一般送配電事業者の赤字を膨らませることにつながります。

最終保障供給料金に卸市場価格を反映へ

こうした状況を是正するために、有識者からなる審議会での議論の結果、最終保障供給料金について、卸電力市場価格を反映するとした料金体系の見直しを行うことになりました。
これを踏まえ、8月10日、沖縄電力以外の一般送配電事業者9社が、最終保障供給約款の変更届出を提出し、9月1日から電気の最終保障供給料金に卸市場価格が反映されるようになります。
最終保障供給契約を現在締結中の法人におかれては、新たな最終保障供給料金を確認し、他の小売電気事業者の料金メニューと改めて比較検討ください。

電力・ガス取引監視等委員会 ネットワーク事業監視課

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