地域で輝く企業

受配電設備から工場・ビル監視制御システムなど開発・設計・製造から保守、予知・予防までを一つの環につなぐ

別川製作所 石川県白山市

石川県白山市の本社工場

配電盤メーカーから事業を拡張し、顧客にシステム・ソリューションを提供

 小松空港から車で約30分、晴れた日には白山の山並みがきれいに見える好立地に本社を構える別川製作所(石川県白山市)は、元々は配電盤メーカーながら、電力・空調などの省エネ監視や各種プラントの監視制御などに事業を拡張し、要望に応じた個別受注生産により、顧客にシステム・ソリューションを提供してきた。

 具体的な事業内容について、川島直之・代表取締役社長は、こう説明する。

 「主に4つの事業に取り組んでおり、まずは創業当時から続いている配電盤、制御盤、分電盤等を設計・製造する配制事業で、工場やビルなどに各種システムをワンストップで提供するシステム事業が2つ目です。保守・保全を事業として始めたのが3つ目の電気設備メンテナンス事業で、北陸新幹線の開通に合わせ、配電盤などを納めたことから、それらの設計、メンテナンスを含んだ鉄道事業を4つ目の事業として始めました。各事業のウェートでいえば、配制事業が大きいものの、成熟した分野なので、これからの成長を考えると、それだけ取り組んでいけばよいわけではありません。お客様の要望の多いシステム事業を含めた3事業を今後、どれだけ伸ばしていけるかが課題ととらえています」

川島直之・代表取締役社長(本社前にて)

自社で率先してDXに取り組み、顧客の問題解決にフィードバック

 生産制御システム「Wiz・PlaS」や遠方監視システム「e’Meister」など、従来からある同社独自の技術で顧客からの厚い信頼を得ているのに加え、近年は、自社で率先してDXに取り組み、国から「DX認定制度」の認定を受けたところである。それらの知見を顧客の問題解決にフィードバックすることにも取り組んでいる。

 「たとえば塗装作業では、24時間モーターが稼働していて、どこかのタイミングで交換が必要になります。モーターが消耗してくると異音が出始めるため、それらのデータを蓄積し、壊れる前に最適なタイミングで交換するという予防・予知の仕組みを構築し、同じような問題を抱えているお客様にご提案させていただいています」(川島社長)

 いくつもある自社DXの取り組みの一つとして、スマートファクトリープロジェクトがある。製造現場の各社員がiPodに生産着手・完了など、作業の進捗状況を入力し、電子端末に表示することで、個別受注生産における作業の見える化を実現する仕組みで、実証実験を経て、現在、それに基づいてリアルタイムな生産管理を行っている。このプロジェクトは、同社が力を入れている「人づくり」の一環として実施した「次世代幹部育成研修」修了の際の受講者のプレゼンから生まれた。

本社工場の作業の様子

『社員の<和>、組織の<環>』を創業以来掲げ、人づくりに努める

 「『環境と社会の未来に貢献』『独創性・顧客価値の追求』に続く3つ目の経営理念として、『社員の<和>、組織の<環>』を創業以来掲げ、人づくりに重きを置いてきました。人づくりには、時間がかかるものの、氷山の水面下の一番大きな大事な部分でもあり、そこを疎かにしていては、実際の業務で成果が出せないと考えるからです。弊社では元々、『別川未来塾』という人材育成プログラムを実施しており、今年で15期目となります。それとは別に、名前の通り次世代幹部を育成する狙いで、8年前に『次世代幹部育成研修』を行い、その受講生が今、会社の中枢を担うようになっています。また、第11次中期経営計画の2年目にあたる今年は、『個人と組織のホスピタリティ向上』を目標に掲げ、全社的にコーチングなどを通じてコミュニケーション能力を高める講習などを実施しています」(川島社長)

 産学連携として、特に地元大学との連携を強く推し進めている。たとえば、金沢工業大学とは昨年5月、産学協同教育実施に関する協定書を交わし、9か月間にわたって「コーオプ教育」を実践・展開した。コーオプ教育とは、教育目標やプログラム、指導方法を企業と教育機関が共同で開発する就業体験を含んだ学習プログラムで、金沢工業大学の工学部学生が同社企画開発室のメンバーらと協働し、「業務支援Bot」の開発を行った。

 また、地元のスポーツクラブであるサッカーJ2のツェーゲン金沢とバスケットボールB3リーグの金沢武士団をサポートするなど、地域との連携も深めている。

別川製作所の社員と金沢工業大学の学生が共同で実践・展開した「コーオプ教育」

創業100周年に向け、TSS(トータル・システム・ソリューション)の実現を目指す

 創業は1952(昭和27)年で、今年創業70周年を迎えた。その先の100周年に向け、別川製作所の未来を川島社長は次のように描く。

 「創業当時は、分電盤を作って納めるだけだったのですが、それだけやっていたら今まで続いていなかったと思います。それと同じで、今のままでは100年はむずかしいでしょう。100年続けていくために、常に変化、進化していかなくてはなりません。お客様のご要望を聞き、ご提案し、設計してものを作り、設置する。そしてメンテナンスもする。それに加えて、最終的に予防・予知も行い、一つ環としてつなげることで、TSS(トータル・システム・ソリューション)の別川製作所を目指していきます。その上で、事業の幅を広げ、『別川製作所は配電盤も作っているんだ』と意外に思われるくらい、それ以外の事業が脚光を浴びる会社になってもらえればと思っています」

【企業情報】
▽所在地=石川県白山市漆島町1136 ▽代表取締役社長 川島 直之氏 ▽売上高=111億円(2021年3月) ▽創業=1952(昭和27)年