60秒早わかり解説

始めていますか?「プライバシーガバナンス」

 加速するデジタル化や、各国のプライバシー保護法制への対応により、パーソナルデータを取り扱う上で、プライバシーへの配慮はますます重要になってきており、各社で独自の動きが始まっています。

プライバシーガバナンス実践企業の取組

 経済産業省・総務省は、2020年8月に「DX時代における企業のプライバシーガバナンスガイドブック」を策定し、企業がプライバシー問題に向き合うため、取り組むべき「3つの要件」と、「5つの重要項目」を提言しています(過去の解説記事)。

 取組事例の充実として、2021年7月に「ver1.1」を公開、2022年2月に「ver1.2」を公開し、NTTドコモ・日立製作所・参天製薬・KDDIに加えて、トヨタ自動車・ヤフー・セーフィー・NEC・資生堂・JCBの事例を追加しました。

 例えば、NTTドコモでは、パーソナルデータ憲章を制定し、公表。法令順守に加え顧客のプライバシーを保護し、配慮を実践することも重要な使命であることを宣言し、パーソナルデータを取り扱う際の行動原則として6つの原則を提示しています。また、トヨタ自動車では、全社横断的なガバナンス体制を構築。Chief Privacy Officer(CPO)の下、全社にまたがる共通課題やお客様とのコミュニケーションなどにおける重要事項ついてプライバシーガバナンス推進会議で共有・検討しています。

ポイントはコミュニケーションと体制構築

 特徴的なのが、ステークホルダーとのコミュニケーション(例えば、姿勢の明文化)・体制の構築(例えば、責任者の指名・リソースの投入)です。プライバシー問題の考え方、リスク管理の在り方、パーソナルデータがどのように取り扱われているのか、そのようなことを対外的に公表し、ステークホルダーに対して積極的にわかりやすく説明を行い、ステークホルダーの声を聞くことは、信頼確保につながり、企業価値の向上につながるものと考えられます。

プライバシーへの取組は事業の生命線、競争力の源泉

 プライバシーへの配慮は、パーソナルデータを取り扱う上で、大企業だけでなく、中小企業・スタートアップの方々にとって、事業の生命線、競争力の源泉であると捉えられており、プライバシーへの配慮が欠けていると、サービスの拡大につながりません。
 プライバシーへの対応を促進することで、消費者と企業の関係を良好なものとし、プライバシーに配慮したイノベーションが後押しされ、経済活動の活性化につながると考えています。

【関連情報】
■プライバシーガバナンス
■「DX時代における企業のプライバシーガバナンスガイドブックver1.2」
■プライバシーガバナンスに関する調査結果
■60秒早わかり解説 プライバシーへの取組を企業価値につなげる