60秒早わかり解説

回答企業の約5割が実施。人権デュー・ディリジェンスってなに?

 アンケート回答企業の約7割が人権方針を策定し、約5割が人権デュー・ディリジェンスを実施。政府として初の調査で、日本企業の「ビジネスと人権」に関する取り組み状況が明らかになりました。

※2021年8月末時点での東証一部・二部上場企業等を対象。対象企業数2786社に対し、回答企業数760社

人権デュー・ディリジェンスとは

 人権デュー・ディリジェンスとは、「企業活動における人権への負の影響を特定し、それを予防、軽減させ、情報発信をすること」を指します。2011年に国連人権理事会において「ビジネスと人権指導原則」が支持されて以降、企業の人権尊重を促す様々な政策が各国で講じられています。企業は、事業を実施する国の国内法令を遵守するだけではなく、国際的な基準等に照らしてその行動が評価されるようになっており、取引先や投資家などから人権デュー・ディリジェンスの実施を求められています。日本政府でも、2020年10月に「ビジネスと人権」に関する行動計画を策定し、その規模、業種等にかかわらず、日本企業が、人権デュー・ディリジェンスを導入することへの期待を示しています。

政府から企業に期待すること(日本政府『「ビジネスと人権」に関する行動計画』より)

回答企業の約7割が人権方針を策定

 アンケート回答企業のうち、人権尊重に関して、「人権方針を策定、または企業方針、経営理念、経営戦略などに明文化し、公表している」企業は約6割。「策定し明文化しているが公表していない」企業約1割とあわせ、およそ7割の企業が人権方針を策定していることが明らかになりました。

人権尊重に関して、人権方針を策定、または企業方針・経営理念・経営戦略などに明文化していますか。また、それらを公表していますか。(経済産業省 日本企業のサプライチェーンにおける人権に関する取組状況のアンケート調査より)

 また、人権デュー・ディリジェンスを実際に実施している企業は約5割であり、そのうち間接仕入先まで実施している企業は1/4でした。

人権デュー・ディリジェンスの実施状況(経済産業省 日本企業のサプライチェーンにおける人権に関する取組状況のアンケート調査より)


人権デュー・ディリジェンスを実施している企業のうち、間接仕入先まで実施している企業は約25%、販売先・顧客まで実施している企業は約10~16%。(経済産業省「日本企業のサプライチェーンにおける人権に関する取組状況のアンケート調査」より)

ビジネスへの影響

 人権を尊重する経営を実践する企業は、その主な成果として、自社内やサプライチェーン上の人権リスク低減、SDGsへの貢献、ESG評価機関からの評価向上をあげています。実際、海外では、企業による人権デュー・ディリジェンスの実施・開示の義務付けや、人権を理由とした輸出入規制導入の動きが加速しています。ドイツでは、人権デュー・ディリジェンスを一定規模以上の企業に義務づける法律が2023年1月より施行されます。

取引先、投資家、消費者から選ばれ続けるために

 人権への配慮は、これまでも企業活動を行う上で必要なことでしたが、海外と直接の取引のない企業においても、人権尊重の取組を行わなければ取引先や顧客を失う可能性もあり、しっかりと取り組む必要があります。人権デュー・ディリジェンスを実施していない企業は、その主な理由として、実施方法がわからないこと、人員や予算を確保できないことをあげています。今回の調査により明らかとなった課題や要望を踏まえ、日本企業のビジネスと人権に関する取組を促進する観点からどのような政策措置が必要か、検討を進めていきます。

 

経済産業省 大臣官房ビジネス・人権政策調整室

 
 
【関連情報】

報道発表/日本企業のサプライチェーンにおける人権に関する取組状況のアンケート調査結果を公表します(2021年11月30日)

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