60秒早わかり解説

時代に合わせ進化するピクトグラム【後編】

カームダウン・クールダウン

2020年5月の改正でJIS Z8210(案内用図記号)に追加された図記号のうち、延期されたオリンピック・パラリンピック前に、ぜひ皆さんに覚えてほしいものがある。
それは「カームダウン・クールダウン」できる場所を示す図記号だ。

カームダウンとは

知的障害や発達障害などがある人は、人の多い場所や騒々しい場所、高温高湿の場所でパニックを起こすことがあり、周囲と遮断された静かなスペースで15分~20分ほど黙って過ごすことにより気持ちを落ち着かせることができる。そのためのスペースがカームダウン室であり、東京オリパラに向け建設された新国立競技場や有明アリーナにも複数カ所設けられている。
誰でも使える休憩室ではないこと、カームダウン室を必要としている人がいることをぜひ知っておいてほしい。

表示の例

多様性を意識したトイレ、授乳室

介助用ベッド      男女共用お手洗

他にも、高齢社会やジェンダーフリーなどの社会事情の変化に伴い、「介助用ベッド」や「男女共用お手洗」などの図記号も新たに追加された。
また、イクメンが増え、今まで女性専用のイメージが強かった授乳室(ベビーケアルーム)に男性も立ち入るようになり、女性が安心して授乳できるスペースの有無がわかる表示を希望する声がある一方で、男性もどこまで入って良いのかがわかる表示や、男性も使える授乳個室の表示が欲しいという声もあった。そこで、女性用、男女共用の授乳室図記号を新たに作り、男女双方にわかりやすい表示ができるようになった。

授乳室(女性用)      授乳室(男女共用)

 

JISとして定める意義

今までも独自の表示をしている施設はあったが、JIS(日本産業規格)という国家規格になることで、統一された図記号の表示と普及が期待される。日本人だけでなく外国人にもわかりやすいピクトグラムの表示も、「おもてなし」の一つだろう。

※ 図は全てJIS Z8210より抜粋

【関連情報】

ニュースリリース資料(案内用図記号のJIS改正)

カームダウン・クールダウンについて