統計は語る

サービス産業の動向がより正確に把握できるようになります

基準年 2010年から2015年に改定


 経済解析室では、第3次産業(サービス産業)活動の動向を表すために作成・公表している第3次産業活動指数を、4月17日に公表する2020年2月分より、現行の2010年基準から2015年基準に改定する(詳細)。
 今回は、この基準改定の内容について紹介する。

ウエイトの変更

 第3次産業活動指数は、第3次産業(サービス産業)の活動を把握する上で重要な指標だが、現在の指数は2010年の産業構造を基準として、サービス産業の動向を表している。しかし、産業構造は年々変化することから、古い構成のままでは足下のサービス産業の活動を正確に把握することができない。そこで、第3次産業活動指数では、5年ごとに直近の産業構造を反映させるために基準改定を行いウエイトの更新を行っている。
 ウエイトについては2010年基準から2015年基準への改定により、小売業や、事業者向け関連サービス、電気・ガス・熱供給・水道業等のウエイトが増加した一方で、情報通信業、卸売業等のウエイトが減少した。なお、業種分類については2010年基準の体系を踏襲している。

採用系列の補充、見直し

 今回の基準改定では、第3次産業総合の精度向上の観点から、大分類業種や個別業種の活動状況をより適切に反映するよう、近年整備・改善が進んだサービス産業関連統計や民間データなども活用し採用系列を補充するとともに、見直し(変更、統合、分割)を行った。
 特にこれまで必要な観測値数に至らず採用を見送ってきた「サービス産業動向調査(月次)」(総務省、平成20年7月から実施)は、サービスを供給する側から見た統計調査であり、適切に価格変動を除するデフレータを併用することで指数の精度の向上に資すると考えられることから、新規拡充のみならず、これまでの採用系列からの切替えなど、重点的に取込みを行い活用することとした。

再編集系列の提供

 第3次産業活動指数では、サービス産業の動向を特徴に応じて把握しやすくするよう、通常の業種分類とは別に再編集系列も作成し、公表している。
 利活用の状況に応じて一部整理しているが、二項対立型の系列として、第3次産業総合の内訳系列を個人と事業所の二つの用途別に「広義対個人サービス」、「広義対事業所サービス」に2分した系列、さらに「広義対個人サービス」を生活必需的なサービスである「非選択的個人向けサービス」と選択性の強いサービスである「し好的個人向けサービス」に分割した系列、「広義対事業所サービス」を非製造業に比べ製造業との取引が大きい系列を「製造業依存型」と、非製造業との取引が大きい系列を「非製造業依存型」に分割した系列を引き続き提供する。
 また、第3次産業の末端系列のなかから、共通の属性を持つ系列を抽出した属性抽出型の系列として、「消費向けサービス(広義対個人サービス)」と対比される「投資向けサービス」や、「観光関連産業」などについても引き続き提供する。
 その他、季節調整法のARIMAモデルやオプションの見直し、季節指数の算出に使用するデータ期間の変更などを行っている。

新旧の指数比較

 それでは、第3次産業総合の季節調整済指数を新旧で比較してみる。なお、2010年基準については、2015年平均を100として調整を行っている。

 採用系列の補充、見直しなどもあり、動きの幅が変わっている時点もあるが、直近の動きはそれほど変わっていない。
 足下のサービス産業の動向をより正確に把握できるようになった2015年第3次産業活動指数、これまで以上に利用していただきたい。