
”なるほど!”が集まるウェブマガジン
「地域の企業を応援したい 」島津製作所がサイトに込めた想いとは
プロジェクトチームメンバー かく語る
地域経済を牽引する有力企業の事業拡大を後押ししようと、島津製作所は「応援WEBサイト」を立ち上げた。経済産業省が選定する全国約3700社の「地域未来牽引企業」向けに、技術開発や市場開拓のヒントとなる情報を独自の切り口で発信する。ノーベル賞受賞者も輩出する大企業がなぜ、地域の中堅中小企業の可能性に着目するのかー。
トレンドから施策情報まで
サイトは2020年1月中旬に開設。旬なテーマや海外トレンドを紹介するコラムや自治体の産業支援策を検索できる独自のデータベース機能などで構成される。コラムは同社社員が執筆しているだけに、マイクロプラスチックやゲノム編集技術による食品開発など社会的に関心の高いテーマをビジネス目線で取り上げているのが特徴だ。無料の会員登録をすればすべてのコンテンツを閲覧できる。
「何も特別な取り組みとは受け止めていないんです」。今回のプロジェクトを推進する分析計測営業統括部の古賀正敏営業企画部長はこう語る。
「『科学技術で社会に貢献する』を社是とする当社にとって、分析や計測を通じて『知りたい』『解決したい』というニーズに応えることは、ユーザーはもとより、当社自身の成長戦略にもつながるからです」。

サイトの背景にある想いを語る分析計測営業統括部の古賀部長
可能性どう生かす
地域経済の中心的な担い手となる有望企業とされる地域未来牽引企業は、高い技術力や成長分野に挑む事業戦略を持ち合わせていることから、性能評価や品質管理に不可欠な分析機器を通じて島津との接点が少なくない。実際、選定企業のうち製造業の3割程度はすでに同社製品のユーザーとみられ、産業支援機関などでの間接的な利用も含めるとかなりの割合に上る。
反面、これまで接点のなかった企業の中には、独自技術を成長市場に振り向けることへ可能性を秘めながらも、機器の利用ニーズが顕在化するまで事業戦略が具体化していなかったり、情報収集に投じられる経営資源が限られている実情もあるのではと同社は考えている。

「地域の企業の皆さんと継続的な関係を構築したい」と語る営業統括部の田所健太郎課長
事業のヒントにつながれば
そこで、まずは事業のヒントになりそうな情報を発信することで、将来、ユーザーとなる可能性を秘めた企業の成長戦略を間接的かつ継続的に支援することにした。当然のことながら、同社にとっても、多様な産業分野から寄せられる分析・計測ニーズに応えることはビジネスに直結する。健康志向の高まりや海外展開を背景に、食品分野における機能性評価やおいしさの見える化解析、香りの成分測定などのニーズが広がっていることはほんの一例だ。

プロジェクトの中心メンバーである副主任の丸岡啓子さん。自治体との関係も生かしてサイトのPRに努めている
将来は、同サイトを通じて、企業同士の交流の場や技術連携の橋渡し役も担うとともに、新型コロナウイルス問題が収束した後には、経産省が各地に展開する経済産業局とも連携しながら、地域未来牽引企業同士のリアルな出会いの場づくりにも貢献したいと考えている。
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