統計は語る

1月のサービス産業活動 2か月ぶりの前月比上昇もいまだ低水準

暖冬効果 飲食店など客足伸びる

 
 本年1月のサービス産業(第3次産業)活動指数は、指数値105.9、前月比0.8%と2か月ぶりの上昇となった。
 サービス産業活動は昨年9月まで3か月連続の上昇、特に9月は前月比2.3%と大幅な上昇をみせた後、10月は前月比マイナス5.2%と、大幅に低下した。ただ11月以降、サービス産業活動は再び活動水準を戻してきている。とはいえ、本年1月の指数値105.9は、昨年9月に大幅に上昇する以前の直近3か月の指数値の平均値107.0や、上下に大きく振れた昨年9月・10月の指数値の平均値106.9と比べてもまだ低く、さらなる戻りを期待したい。

生活娯楽関連の上昇大きく

 1月の業種別の動きをみると、7業種が前月比上昇、4業種が前月比低下という結果となった。

 特に上昇寄与が大きかった業種は、生活娯楽関連サービス、「運輸業,郵便業」、「金融業,保険業」が挙げられる。1月は昨年11月以降好調が続いている生活娯楽関連サービスに加え、前月の低下からの戻りがみられた「運輸業,郵便業」、「金融業,保険業」などが上昇をけん引した。
 生活娯楽関連サービスに関しては、1月は前月比2.4%上昇と、3か月連続の上昇となった。特に、洗濯・理容・美容・浴場業、宿泊業、「飲食店,飲食サービス業」が上昇した。1月は休日の日並びもよく日本人の宿泊者数が増加したことに加え、外国人の宿泊者数も前月より増加したこと、暖冬により外食の客足もよかったことなどが、生活娯楽関連サービスの好調に寄与した。生活娯楽関連サービスは、この3か月連続の上昇により、昨年10月に大きく低下する前の昨年9月の水準まで活動が回復している。
 「運輸業,郵便業」は、前月比2.4%と、2か月ぶりの上昇となった。特に郵便業(信書便事業を含む)、道路貨物運送業の上昇寄与が大きくなった。郵便業(信書便事業を含む)については、前月12月に年賀郵便の引受数低下により大幅に低下していたことから、そこからの戻りの要素が大きいものと考えられる。ただ水準としては、大きく低下した昨年10月の水準は上回ったものの、昨年9月以前と比べると、依然低い水準にとどまっている。
 「金融業,保険業」は、前月比1.5%と、4か月ぶりの上昇となった。特に、前月に大きく低下していた金融決済業務が1月は戻したことが、上昇に寄与した。

「対事業所」は戻り鈍く

 サービス産業活動指数は、大きく「広義対個人サービス」と「広義対事業所サービス」に分けることができる。
 1月の対個人サービス活動指数は、指数値106.9、前月比1.1%と2か月ぶりの上昇だった。対事業所サービス活動指数は、指数値104.9、前月比1.4%と2か月ぶりの上昇だった。両者とも大きく低下した昨年10月以降の動きをみると、対個人サービス活動は活動水準を戻しつつあるが、対事業所サービスは戻りが鈍く、いまだ低い水準にとどまっている。

上昇続く「非製造業依存型事業所向け」

 対事業所サービスは、製造業の取引先が多いか、そうでないかによって、製造業依存型と非製造業依存型に分けることができ、それぞれの指数も計算している。
 1月は、非製造業依存型事業所向けサービスは前月比1.0%と3か月連続の上昇だった。製造業依存型事業所向けサービスは前月比0.7%と、4か月ぶりの上昇となった。
 非製造業依存型事業所向けサービスは、昨年10月は大幅な低下をみせたものの、その後は上昇が続き、昨年9月に大幅上昇する前の水準まで回復している。他方、製造業依存型事業所向けサービスは、昨年10月以降、低下が続いており、1月は4か月ぶりに上昇したとはいえ、それまでの低下幅と比べると、戻りも小幅にとどまっており、依然低い水準にある。

「し好的個人向け」戻り基調

 対個人サービスは、生活必需的な性質で変動が相対的に少ないと考えられる非選択的サービスと、選択性が高く所得環境や経済情勢等の影響を受けやすいと考えられるし好的サービスに分けられ、それぞれの指数も計算している。
 それぞれの動向についてみてみると、1月は非選択的個人向けサービスは前月比0.8%と2か月ぶりの上昇、し好的個人向けサービスは前月比1.2%と3か月連続の上昇だった。昨年10月に大幅に低下していた、し好的個人向けサービスは、その後上昇が続き、活動水準はまだ昨年8月以前の水準までには至っていないものの、10月の低下からはだいぶ戻してきている。

基調判断は据え置き

 本年1月のサービス産業活動指数は、前月比0.8%と、2か月ぶりの前月比上昇だった。サービス産業活動は、10月に前月比マイナス5.2%と大幅に低下した後、11月以降は再び上昇傾向がみられる。とはいえ活動水準はまだ十分には戻ってはいない。
 対個人/対事業所サービスに二分してみると、対個人サービスは上昇し、水準もだいぶ回復しつつあるが、他方、対事業所サービスの戻りは弱く、サービス産業活動指数の11月以降の戻し幅を低下させる結果となっている。
 このように、サービス産業活動は、昨年10月に一旦大きく低下したものの、11月以降は再び戻してきていますが、活動水準はまだ低い状況である。また、1月は新型コロナウイルス感染症の影響はそれほどみられず上昇したが、2月以降はその影響がより大きく表れ、低下方向に作用する可能性も十分考えられる。
 こうした状況を踏まえ、サービス産業(第3次産業)活動指数の1月の基調判断としては、「足踏みがみられる」を据え置き、先行きを注視していきたい。

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参考図表集

『就職にも使える! 第3次産業活動指数』(マンガ)