12月のサービス産業活動 2か月ぶりのマイナスに
郵便や運輸、モノの動きの低調響く
2019年12月のサービス産業(第3次産業)活動指数は、指数値105.3、前月比マイナス0.2%と2か月ぶりの低下となった。
サービス産業活動は昨年9月まで3か月連続の上昇、特に9月は前月比2.3%と大幅な上昇をみせた後、10月は一転し前月比マイナス5.2%と、大幅な低下となった。11月はそこから反発し前月比1.4%上昇したものの、12月はわずかながら低下となった。
四半期ベースでは、昨年第4四半期の指数値は104.9となり、前期比マイナス2.8%の低下となった。
事業所向けサービスも低調
12月の業種別の動きをみると、6業種が前月比低下、5業種が前月比上昇という結果となった。
特に低下寄与が大きかった業種は、「運輸業,郵便業」、卸売業、事業者向け関連サービスが挙げられる。12月はモノの動きに関連した業種や、主に事業所向けとみられるサービスが低下寄与業種となった。
「運輸業,郵便業」に関しては、12月は前月比マイナス2.0%低下と、2か月ぶりの低下となった。特に郵便業(信書便事業を含む)が前月比マイナス11.7%と大きく低下した。内国郵便が低調で、特に本年元旦の年賀郵便配達物数が前年比で大きく低下したことにみられるように、年賀郵便の引き受けが低調であったことも、12月の郵便業の活動低下に影響した。「運輸業,郵便業」は10月に前月比マイナス5.9%と大きく低下し、11月はそこから小幅に戻したものの、12月はさらに低下した。
卸売業は、前月比マイナス1.2%と、2か月ぶりの低下となった。特に「建築材料,鉱物・金属材料等卸売業」、飲食料品卸売業の低下寄与が大きくなった。卸売業は10月に前月比マイナス8.8%と大きく低下し、11月はそこから小幅に戻したものの、12月は再び低下となり、低い水準にとどまっている。
事業者向け関連サービスは、前月比マイナス0.7%と、2か月ぶりの低下となった。特に土木・建築サービス業やエンジニアリング業が低下に寄与した。
「対個人」は横ばいも
サービス産業活動指数は、大きく「広義対個人サービス」と「広義対事業所サービス」に分けることができる。
12月の対個人サービス活動指数は、指数値106.0、前月比0.0%と横ばいだった。対事業所サービス活動指数は、指数値103.6、前月比マイナス1.3%と2か月ぶりの低下だった。12月は対事業所サービスの低下が、サービス産業活動指数を押し下げた形だ。
「製造業依存型」回復の兆しみられず
対事業所サービスは、製造業の取引先が多いか、そうでないかによって、製造業依存型と非製造業依存型に分けることができ、それぞれの指数も計算している。
12月は、非製造業依存型事業所向けサービスは前月比0.0%と横ばいだったが、製造業依存型事業所向けサービスは前月比マイナス2.4%と、3か月連続の低下となった。
非製造業依存型事業所向けサービスは、10月は大幅な低下をみせたものの、11月は上昇、12月は横ばいといったように、小幅ながら戻りがみられるが、製造業依存型事業所向けサービスは、10月に大幅に低下した後、11月、12月も低下が続いている。後者の低下については、昨年第4四半期の製造業の弱さも影響していると考えられる。
「し好的個人向け」には大幅低下からの戻りも
対個人サービスは、生活必需的な性質で変動が相対的に少ないと考えられる非選択的サービスと、選択性が高く所得環境や経済情勢等の影響を受けやすいと考えられるし好的サービスに分けられ、それぞれの指数も計算している。
それぞれの動向についてみてみると、12月は非選択的個人向けサービスは前月比マイナス0.7%と2か月ぶりの低下、し好的個人向けサービスは前月比1.3%と2か月連続の上昇だった。し好的個人向けサービスは、10月は前月比マイナス10.7%と大幅な低下だったが、11月、12月と上昇が続いており、活動水準はいまだ低いものの、10月の低下からの戻りがみられる。
四半期ベースでみると、2019年第4四半期は、先述のように前期比マイナス2.8%の低下となり、5期ぶりの低下となった。低下幅は、2014年第2四半期と並ぶ今基準内最大の低下幅である。
業種別にみると、事業者向け関連サービス、「医療,福祉」、物品賃貸業(自動車賃貸業を含む)は上昇したものの、その他の業種は低下した。特に、卸売業、小売業の低下寄与が大きい。
基調判断は据え置き
2019年12月のサービス産業活動指数は前月比マイナス0.2%と、2か月ぶりの前月比低下だった。サービス産業活動は、10月に前月比マイナス5.2%と大幅に低下した後、11月は上昇したものの、12月はわずかながら再び低下と、9月までの上昇基調から一転、足踏みがみられる。
12月は、業種別にみると、「運輸業,郵便業」、卸売業といった、特にモノの動きに関連する業種で低下がみられた。小売業も12月は微増にとどまり、10月の大幅な低下以来、低い水準にとどまっている。また、対個人/対事業所サービスと二分してみると、対事業所サービスに低下がみられ、サービス産業活動指数を押し下げることとなった。
1月以降は、製造工業生産予測調査の1月調査の結果では、製造工業の生産は上昇が続く計画となっており、12月まで低調であったモノの動きも回復が見込まれる。ただ、この調査結果は新型肺炎の影響は織り込まれていないため、実際には今後大きく変動する可能性もある。
このように先行きには不確実性も多分にあるものの、12月のサービス産業(第3次産業)活動指数の基調判断は、「足踏みがみられる」を据え置き、先行きを注視していきたい。
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